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和真の唐突な動きに碧の方がついていけず、慌てて立ち上がる。
後を追うように歩くが来たときよりも歩く速度も早いような気がする。
怒っているのだろうか。
…そうなのかもしれない。
本来するべき話もせず、勢いで強く腕を掴んだあげく告白までしてしまった。
「か、…里見さんっ…あの…怒ってますよね?」
碧は頭を抱えたくなって、小走りで近づいて、和真の腕を掴んだ。
同じ男である碧にコクられて、気分を害すなという方が無理なのだろうが、気まずくなるのは嫌だった。
和真は大きくため息をつくと、碧を振り返った。
「…別に怒っているわけじゃない」
口調は柔らかい。本当に怒っている訳ではなさそうだ。
「……それと。呼びたければ和真でいい。さっきもそう呼んだだろ?」
「え、いいんですか!?」
「言いかけてやめられる方が気分が悪い」
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