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「笑わないでくださいよ…」
「は、…悪い。あ、あと今日の夜って話だったが」
碧の弱々しい苦言に、和真は笑いを引っ込めると、結局話しそびれていた話題を口にした。
「あぁ、そうだ。そうですね…時間とかどうしますか?」
碧が問い返すと、和真は仕事の時の厳しい表情に戻って、口元に手をやった。
「実はさっきな…明後日の大口の注文の個数が変更になったんだ。……仕込みをしておかないと間に合わなくなりそうなんだ…だから、良ければ来週の火曜はどうかと聞いてほしいんだが」
抑揚の少ない声の中に、僅かだが申し訳無さそうな色を滲ませて、和真は言った。
「分かりました。聡さん大学院生なんで、夜は都合つくと思いますよ」
碧は後で連絡しようと、頭の中で段取りを考える。
「…そうか。悪いな、頼む」
「分かりました。…あ、仕込み、俺にも教えて下さい」
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