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「……まぁ」
和真は迷って、薫の言葉を肯定するだけに留めた。
『好きみたいです』
そう言った二階堂の声が、脳裏をよぎる。
あれは、恋愛対象の言葉として捉えて、間違いはないのだろう。
初めて会ったわけじゃないと二階堂は言っていたけれど、覚えていない和真にとってはまだたった一日だ。
久々に根性がありそうな人材が入ったと、そう思った。
和真の印象としてはまだその程度だ。
それなのに。
『離したくないって思っちゃうんですよ』
手首を捕らえられた時の二階堂の手のひらの熱さに、知らず頬が熱くなる。
「里見?」
いつのまにか手が止まっていたようで、呼ばれてはっとする。
「なんだ?」
思い出したように手を動かして、和真は一度緩く首を横に振った。
「…だいたい想像はつくけど……そんな考え込んじゃうようなこと?」
和真の不審な動きを見ていた薫は、からかい混じりの声で言った。
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