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「だっ…男だぞ、俺は……」
思わず声を荒げると、薫は苦く笑った。
「…知ってるよ?そんなこと」
「そうじゃなくて、だな…」
告白されたと言わずに、どうやって説明すればいいのか頭を悩ませていると、出来上がった土台を冷蔵庫に入れ終わった薫が、大袈裟にため息をついた。
「あーぁ。あたしの勘、当たらなければいいと思ってたけどやっぱりそういう話されたんだ」
和真もショコラムースを作り終え、薫と同じように冷蔵庫に手をかけた。
「お前…何か察してるならそんな遠回しに言わなくてもいいだろ?」
パタンと扉を締め、和真は薫を振り返ると眉を寄せ、苦言を呈した。
「じゃあ里見がちゃんと話しなさいよ。困ってるんでしょ?…」
自分のことを棚にあげて話している自覚はあったから、和真は押し黙った。
「…」
その間、二人は黙々と作業した。その甲斐あって予定より早く、仕込みは大部分が終わった。
やっぱり薫とだと仕事も速い。
手順を説明する必要もなければ、細かな指定も薫は把握しているから和真も楽だ。
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