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そこは、一歩足を踏み入れると別世界のような空間だった。
黄色の小振りな花を咲かせる蔓性のカロライナジャスミンに彩られたアーチをくぐると、クリーム色の煉瓦が敷き詰められたアプローチが続く。
テラスの形状に合わせてカーブしたアプローチの脇は一段高くなっており、素朴な素焼きの鉢に植えられたレモンの木が、等間隔で並んでいる。
その下に、銀白色の葉を持つナツユキソウの、白い小さな花弁が無数に揺れている。
煉瓦と同系色の柔らかな外壁に、赤い屋根が印象的な建物まで。
その景色は続き、見る人を癒す。
入り口までは緩やかな坂になっていて、正面に英字でフェアリーガーデンと店名が書かれていた。
その妖精の庭という店名にふさわしい雰囲気の外観と、テラス。
中に入ると、店の中央に一段のショーケースが置かれていて色とりどりのケーキが並んでいる。
誰もがその美しさに目を奪われ、ため息をつく。
見るだけで幸せになる空間、それがこの洋菓子店フェアリーガーデンの売りだった。
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