3222人が本棚に入れています
本棚に追加
何かを言いかけた父親、雅人の言葉を遮って碧は呆れたように問いかけた。
「正直…お前がそこまで真剣だと思ってなかったからな」
雅人の抱える罪悪感と相まって、だから好きなようにさせたと、そういうことなのだろう。
「親父ってさ…馬鹿だよな」
自身の熱意を無下にされたような気がして、碧は僅かに眉根を寄せた。
「親に向かって馬鹿とはなんだ」
雅人は真面目な人間だから言われた言葉はそのまま鵜呑みにする。
悪く言えば、融通が聞かない。
憮然とする父親を尻目に、非難の言葉とともに碧はきっぱりと言い放った。
「だってそうだろ?……兄貴のことも母さんのことだって……とにかく俺はパティシエになるから。これだけは譲れない」
「…分かった」
最初のコメントを投稿しよう!