淀み

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「え…?」 和真の行動に驚いて、小さく呟かれた声までは聞き取れなかった。 でも、和真が自分を引き止めたいんだということは伝わった。 碧は和真の前にもう一度しゃがみこんだ。 「聞こえませんでした。もう一回…言ってください」 俯く和真のつむじに視線を落として、碧は静かに言った。和真は暫く黙ったままだったが、観念したように重い口を開いた。 「違うと…言ったんだ。俺が困ってたのは……お前に触れられることが別に嫌じゃなかったことだ。嫌じゃない、嫌いじゃない。じゃあなんだ?…好きなのか?そんな簡単なことか?…この気持ちは…なんなんだ…」 一言一言、言葉を選ぶように話していた和真だったが、終わりの方は自問するように言葉を重ねると、緩く首を振って手のひらで顔を覆ってしまった。 「…和真さん」 迷わせたり困らせたりして申し訳ないと思う反面、和真の言葉が嬉しかった。 こうなると現金なものでさっきの罪悪感が嘘のように引き、早とちりして帰ってしまわなくてよかったとさえ思ってしまう。
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