想うということ

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「二階堂さん、これはどうすればいいですか?」 「これは手早く冷やすのが基本だから作ったら冷蔵庫のこのスペースに入れて」 「分かりました」 日にちがたつのは早いもので、予定通りに学生アルバイトたちがやってきてから2週間が過ぎようとしていた。 碧の補佐に入ったのは面接の帰りに一番はしゃいでいた女生徒の朝賀だ。 さすがに仕事の際はあのテンションではないらしい。オンオフのスイッチがはっきりしているようで、業務が始まってからは真剣そのものだ。覚える必要がある部分は熱心にメモを取り、分からないことはすぐに聞く。 覚えも早くやる気もあるため、教えがいのある子だった。 本当は入ったばかりの自分ではなく梅園に指導して欲しかったが、辞めていく自分じゃない方がいいだろうという、今後を考えた梅園の計らいで碧が教えることのなったのだ。 糸井は喫茶室で薫の補助を、塚原は和真の調理を手伝うことになった。 「オーナー、ここはどうしますか?」
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