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和真は二階堂の問いには答えず、率直に今の状態を口にした。
「お前と居ると…空気が薄い」
この男の周りの酸素濃度は、本当に低くなってるんじゃないのかと、真剣に疑いたくなるレベルで息苦しい。
「ふはっ…なんですか、それ。俺、山か何かですか?」
そんな和真に二階堂が小さく笑い声を上げた。吐息がまた額にかかって、和真はその都度呼吸が止まりそうになる。
「心臓が…おかしくて…どうやって呼吸してたのかも分からなくなるんだよ!…こんなのが、好き、か?」
頭がクラクラする。感情の在り処が分からないと、体にまで変調を来すのか。
経験したことのない不調に、和真はどう対処すればいいのか分からなくなって眉を引き絞った。
「和真さん」
名前を呼ぶ声は、もう笑っていなかった。二階堂はもう片方の手も和真の頬に持っていった。
「…俺が触ってても大丈夫な和真さんの気持ちが答えじゃ……ダメですか…?」
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