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ふっと目を開けると、3本並んだ埋め込み式の蛍光灯が控えめに室内を照らしていた。
ぼんやりとした頭で辺りを見渡して、見慣れた事務机と、小さな書棚があることからフェアリーガーデンの事務所だと分かった。
寝かされていたのは、応接用のソファーだった。ゆっくりと体を起こそうとして、頭に鈍い痛みを感じて諦めた。
もう一度目を閉じると、さっき見ていた夢の記憶がどっと押し寄せてきて和真は顔を曇らせた。
どういういきさつだったとか詳しいことは覚えていないが、和真の実母はあの後すぐに家を出て行ってしまった。
小さな頭では何故なのかも分からなくて、ただただ悲しかったのは今でもはっきりと覚えている。
「なんで…今更」
喉が渇いていて、小さく呟いた声すら喉の奥に張り付いたような感じがして気持ち悪い。
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