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「何か言われたんですか?」
動揺を抱えたままの和真にのしかかるように二階堂が背後から腕を回してきた。
「なんでそんな動揺してるんです?」
和真が答えを口にする前に、二階堂が質問を重ねた。
「…いや…莉乃が…邪魔して悪かったとか言うから…」
和真は莉乃の言葉を反芻して赤くなった。
「あぁ…まぁ、分かるでしょうね」
「なんで」
二階堂は緩く和真の頬をなぞりながら、苦笑いした。
「だって和真さん、朝のランニングも花の水やりも欠かしたことないでしょ?…帰らなかったことだってないんじゃないですか?…誰でも分かると思います」
「…そういうもんか…?」
言い返せる要素は一つもなかったが、和真的にはあまり納得出来るものでもなく、赤い顔のまま首を傾げた。
「そうですよ。…声もそんなだしね」
顎を引かれて横を向くと、二階堂の唇がふわりと重なった。
ちゅっと小さな音を立てて離れた唇の隙間に、湧き上がった疑問を落とす。
「声?…関係ないだろ…?」
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