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確かに喉に若干の違和感はあるし、声が掠れている自覚もあるが、二階堂の言わんとするところが分からず、和真は眉間にしわを寄せた。
「…どうしてそうなったか、忘れちゃいましたか?」
言われてすぐに昨日の情事がフラッシュバックして和真は耳まで赤くなった。
何故そんなことを聞くのか分からないが、声が枯れた原因を作ったのは間違いなく目の前のこの男だ。
「これは、お前がっ…」
二階堂は和真の弱いところばかりを執拗に責めたてて、出すつもりのなかった声は抑えられず…結果こうなってしまった。
「俺が…なんです…?」
「お前…分かってて言ってるだろ」
口元に笑みを浮かべた二階堂をじとりと睨むと、和真は体の向きを変えて二階堂の頬をギュッーっと掴んだ。
「痛いれす…」
「余計なことばかり言うからだろっ。…だいたい声が枯れてたって、俺が1人じゃないってことと直結して莉乃が考えるわけないだろ」
パッと手を離すと和真は背を向けて、浴室の方へと歩き出した。
「すみません、和真さんが可愛いかったのでつい…」
やり過ぎたと思ったのか、二階堂は申し訳なさそうに眉を下げたまま和真の後を追ってきた。
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