祭りと、君と。

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和真は碧を置いて本当に一人で浴室に行ってしまった。 今までの感じからして扉を開けてくれるかもしれないと思い、しばらく待ったがシャワーを浴び始めた音が聴こえて、碧は肩を落とした。 洗い立てのTシャツとハーフパンツを用意して、下着は新しいものを開ける。 戸棚のバスタオルを取り出して、浴室横のカゴに入れた。 碧のものではサイズが合わないだろうが、ないよりはいいだろう。 「飯、作るか」 独り言で自分を奮起させて、碧はキッチンへと向かった。 和真が泊まったことは碧にとってもイレギュラーで、もちろん嬉しい方の誤算なのだが、食材もあまり揃っていない。 あり合わせで作るしかないが、そんなことを気にするような人ではない。分かってはいるが、和真も料理の出来る男なので、出来ればちゃんと見栄えのするものを作りたい。 碧は冷蔵庫の前で品定めして、豆腐、わかめ、ネギに油揚げを手に取った。 これで味噌汁は出来そうだ。 米は冷凍して小分けにしたものをレンジで温めるとして、あとは出汁巻たまごに海苔でもあればいいだろうか。
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