祭りと、君と。

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ざっくりと献立を決めて、調理に取り掛かる。 献立を決めてしまえばそこからは早い。 材料を適当に切り、火を通さないといけないものから鍋に入れ、火にかける。 沸騰するまでの間に、ボールに卵を割り入れ、調味料と一緒に混ぜる。 碧は少し甘めの卵焼きが好きだ。和真の好みは分からないが、自分の中の黄金比率の配分で溶き卵を作り、フライパンに流し込む。 じゅーっと小気味よい音がくと、お腹が鳴った。 「起きてから結構経つもんな…」 仕事を始めてから規則的になった生活に合わせて、腹時計もきちんと作動するようになった。 碧はお腹を宥めるようにゆっくりと撫でさすった。 箸で巻くなんて芸当は出来ないので、フライ返しで形を整えながら巻き、余った卵液を巻いた卵の下に滑らせた。 卵焼きが完成する頃に派いい具合に鍋も沸騰し、味噌を溶き入れ、最後に豆腐を加えた。 使った道具を洗っていると、和真が風呂の方から歩いて来た。 「お前、結構ちゃんと出来るのな」 「たいしたものは出来ませんよ。形も歪ですし」
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