祭りと、君と。

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声を返しながら振り返ると、碧の用意したTシャツだけを着た和真がバスタオルを持ったまま立っていた。 「和真さんなんで下履いてないんですか…?」 元々ゆったりめなTシャツだが、すらりと伸びた白い足が太ももの辺りから見えていて、裸よりも目のやり場に困るのは、碧だけだろうか。 泡のついたままの手から、水滴が落ちて床を濡らしたが、不意打ちすぎてそれどころではない。 「…あれ、お前のだろ…?サイズが合わないんだよ。…俺の下着はどこなんだ?」 困ったように眉を寄せ、恥ずかしいのか和真は目を逸らしている。頰にもうっすら朱が差していて、見ているこっちまで恥ずかしくなる。 「あ、えと…さっき一緒に洗濯機に入れちゃいました…。えっ!てことはノーパ」 「言わなくていい。俺だって好きでこんな格好でいるわけじゃない」 碧の声を遮って、和真は不服そうに呟いた。 「和真さん腰細いですもんね…昨日も思いましたけど…」 前から線が細い人だとは思っていたが、昨日触れ合って体の厚みがないことに気がついた。その辺りは遺伝もあるだろうから、和真自身にはどうしようもないことだというのは理解出来た。
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