祭りと、君と。

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「もうその話はするな」 リアルに昨日触れた感想を口にしたせいか、和真は不機嫌そうだ。 「…すみません。嫌でしたか?」 碧は手についた泡を洗い流し、和真の前に立った。 「嫌…というか…出来れば忘れて欲しい」 和真は目を逸らしたまま、眉間にしわを寄せている。 「それは…なかったことにしたいってことですか?」 さっきまで甘い雰囲気を漂わせていたのに、今の和真からはそれを感じられなくて、碧は不安になった。 「ばか。違う。…体格の話だ」 真顔になった碧を気遣うように、和真はすかさず否定した。手にしていたバスタオルを肩にひっかけると、和真は碧に向かって手を伸ばして来た。 「和真さ…」 和真の手が髪に触れたかと思うと、和真は背伸びと同時に首を傾けて碧の頰にキスをした。 「なかったことになんて…ならないだろ?」
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