祭りと、君と。

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和真は素早く体を離すと真っ直ぐ碧を見て、少し恥ずかしそうに、けれど綺麗な笑顔でそう言った。 「っっ…」 その顔と声に心臓がぎゅっとして、気がついたら和真を抱きしめていた。 「ちょ、二階堂っ」 「和真さん、カッコ良すぎです…」 「…お前は力が強すぎだ」 和真は息苦しそうに碧に文句を言った。無意識で抱きしめていたから、確かに力加減ができていなかった。 慌てて緩めると、腕の中の和真がホッと息を吐いた。 「すみません…もう少しだけ」 まだ離したくなくて、和真の首筋に顔を埋めた。 「…くすぐったい」 言いつつも、和真はされるがままにじっとしている。 しばらくそうしていたが、すぐに物足りなくなって碧は背中に回していた手を下に滑らせた。 「そこまでいいとは言ってない」 もう少しでTシャツの裾をたくし上げられるというところで、和真の手がそれを阻止した。
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