祭りと、君と。

7/32

3188人が本棚に入れています
本棚に追加
/513ページ
和真は碧の手から逃れると、肩に乗せていたバスタオルを腰に巻きつけた。 「残念」 碧は急に離れた体を名残惜しく思いながら、苦笑いした。 「…少しだけって言っただろ」 「…そうでした。和真さん、向こうに少し小さめの下着あるんで持って来ますね」 和真の苦情がちょっと本気っぽかったので早々に切り替えて、碧はソファーの奥へと回り込み収納スペースから黒い下着を持って来た。 一度履いてしまったので洗濯はしてあるが、用意するのに抵抗があってそうしなかったのだが、そうも言っていられない。 「いいのか、これ…」 どうぞと手渡すと、和真は履けそうだと判断したのか少しだけ戸惑う様子を見せた。 全くの未使用ではないことは一目瞭然なので、それを気にして聞いて来たのだろう。 「ダメなら持って来ませんよ」 「ありがとな。向こうで着替えてくる」 言うが早いか、和真は颯爽と浴室の方へと戻って行った。 その間に食卓の準備をやってしまおうと思い、碧は数少ない食器を取り出すと、ご飯を取り分けた。
/513ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3188人が本棚に入れています
本棚に追加