3188人が本棚に入れています
本棚に追加
/513ページ
和真は碧の手から逃れると、肩に乗せていたバスタオルを腰に巻きつけた。
「残念」
碧は急に離れた体を名残惜しく思いながら、苦笑いした。
「…少しだけって言っただろ」
「…そうでした。和真さん、向こうに少し小さめの下着あるんで持って来ますね」
和真の苦情がちょっと本気っぽかったので早々に切り替えて、碧はソファーの奥へと回り込み収納スペースから黒い下着を持って来た。
一度履いてしまったので洗濯はしてあるが、用意するのに抵抗があってそうしなかったのだが、そうも言っていられない。
「いいのか、これ…」
どうぞと手渡すと、和真は履けそうだと判断したのか少しだけ戸惑う様子を見せた。
全くの未使用ではないことは一目瞭然なので、それを気にして聞いて来たのだろう。
「ダメなら持って来ませんよ」
「ありがとな。向こうで着替えてくる」
言うが早いか、和真は颯爽と浴室の方へと戻って行った。
その間に食卓の準備をやってしまおうと思い、碧は数少ない食器を取り出すと、ご飯を取り分けた。
最初のコメントを投稿しよう!