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夏祭りに行ったあの日から二階堂のことが気になって仕方がない。
付き合っているのだから、気になるという言い方は変なことかもしれない。
けれど和真にはそれ以外の表現が見つけられなかった。
隣で仕事をしようものなら体の右側が磁石にでも引き寄せられているようなピリピリとしたおかしな感覚に囚われる。
腕が触れれば、過剰なほどに体が反応してしまう。
あの日、二階堂が好きだと繰り返した声が頭から離れない。
「和真さん、こっちチェックお願いします」
二階堂は至って普通だ。あんなに平然と口説いていたのにむしろ付き合っていることを周囲に悟らせない。
2人でいる時の空気感などおくびにも出さない。
どうしたら、そんなふうに出来る?
「和真さん…?」
思索に耽っていた和真を二階堂が覗き込んだ。
呼ばれたことにも気がついていなかった和真は心臓が飛び出すかと思うほど驚いた。
「うわっ…なん、なんだ…?…あ、チェックか…今、やる」
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