不審なオトコ

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◇◇◇◇ 「おはようございます」 着替えを済ませて作業場に行くと、和真はもう何か作業を始めていてその手を止めることなくちらりと碧に視線を向けた。 「…よく眠れたか?」 「…はは……すみません…」 昨日の朝、一緒に走りたいと申し出た言った手前もあって断りを入れるのはどうかと思ったが、今朝のあの状態では流石に行けず…。 碧はまともに和真の顔が見られず、斜めに視線を逸らしたまま笑って誤魔化した。 「無理するな。まずは仕事に慣れろ」 和真は手を止めると碧の方に近づいてきて、すれ違いざま項垂れる碧の肩をぽんと叩いた。 冷蔵庫に用があったようだ。 碧の前を通り過ぎると、中から冷やしたババロアを取り出した。 「分かりました。…あの…か…里見さん」 思わず和真さんと呼びかけそうになり、碧は慌てて言い直した。 「…どうした?」 「…いえ。あとで少し時間ください」 今ここで聡一郎に約束を取り付けた話をしようとも一瞬思ったがすぐに思い直し、それだけを言った。
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