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「…変な希望だな」
薫の言葉の意味を掴み損ねて、和真は表面だけをなぞった。
「里見のせいだから。…あ、喫茶室の方混んできたみたいね、あたしあっち手伝ってくるから。今日の分のバースデーケーキよろしくね。16時がピンクで17時がガトー、19時もあったよね?」
「あ、あぁ。19時はフリュイだ」
薫は小さく呟いたあと、店頭左側のイートスペースに目をやり、話の矛先を変えた。
開店準備が済んだら、今日の予約を確認するのが日課にはなっているが、あまりに強引な話題転換に和真はどこか釈然としないものを感じたが、それ以上追求することはなかった。
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