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◇◇◇
朝の約束通り、和真は二階堂を誘って昼休憩を取った。
テーブルを挟んで向かい合わせに座ったのは、近所のうどん屋だ。
やはり二階堂はこちらを盗み見ては、目を逸らす。
聞いたことには答えるが、態度はおかしいままで、さすがの和真も苛立ちを隠せなくなった。
「…二階堂。なんで目を合わせないんだ?」
うどんを咀嚼しながら、単刀直入に疑問をぶつける。
黙々とうどんをすすっていた二階堂は、口の中にあったものをゴクンと飲み込んだ。
「…え!?」
よほど意外だったようで、二階堂は目を大きく開いて和真を見た。
目が会って、しばらくすると照れたようにほんの少し頬を赤くして、また目を逸らした。
「そんなに驚くようなことは言ってない」
「え、あっ……すみません」
「謝罪はいい。理由を聞いてる」
叱られた子犬のようにしゅんと肩を落とした二階堂に追い打ちをかけるようにピシャリと言い放つ。
二階堂は観念したように、眉を下げた。
「……すみません。疚しいからです」
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