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「か…里見さん、髪に花びらがついてます」
後を追うように歩いていた二階堂の手が言うが早いか髪に伸びてきて、花弁を取り除く。
「…悪いな」
「いえ…髪の毛、さらさらですね」
「え、あぁ。直毛過ぎて困るけどな」
礼を言うと、二階堂は別のことを言った。
扱いにくい地毛に眉根を寄せると、二階堂は意外だと言わんばかりに自分の髪に手をやった。
「そうなんですか?俺なんか癖っ毛で朝とか寝癖すごいんで羨ましいですけど」
「…そういうもんか?」
和真の髪も寝癖はつく。時間が経つといつの間にか直っていることが多いだけで。
まぁ、隣の芝生は青いと言うことなのだろう。
公園の入り口から少し歩いた場所にひっそりと置かれたベンチに並んで腰を下ろす。
「で、うどん屋で出来ない話ってなんだ?」
腕時計をちらりと見やって、和真は単刀直入に聞いた。
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