砕ける闇夜

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砕ける闇夜

俺は本当はどうしたかったんだ。 あなたに笑って欲しいと願うのに。 隣に立って、笑い合えたら本当はそれだけでよかったはずなのに。 わずかに部屋を照らしていた月明かりも鈍い雲が隠してしまって、もう何も見えない。 闇雲に伸ばした手は宙を掻くばかりで、そこにいるはずのあなたに届かない。 本当の俺は。 闇に砕けた今はもう、ここにはいないのかもしれない。
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