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それからはいつも通りの授業が始まった。
得意でも不得意でもない現国が終わり、教科の中ではもっとも得意な数学の小テストが配られ、クラスの中の大半が数学教師を恨めしく思いながら黙々と問題を解く。
僕は一番窓際の前から四番目の席から、シュクシュクと鳴くセミの声を聞きながら、僕の瞳と同じ色の青く澄んだ空を見上げる。
平和だ。 僕は昔から好奇心が旺盛な方で、小さい頃はよく、宇宙人が突然地球を侵略しないかなとか、一度でいいからツチノコとかエイリアンとかに出会ってみたいななんて思う事もあった。
今思えばそんな事は現実に起こるわけもなく、別にその現実に不満があるわけでもなく、僕は友達とバカをして過ごす毎日に満足感すらある。
チャイムが鳴ったと同時に僕は思考を中断させ、後ろから送られてくる答案用紙を受け取り同じ流れで前の席に座るアイラへ回した。
「リッ君、何考えてたの~?」
「ううん、何も考えてないよ。 ただ、空を見てただけ」
僕はアイラの何気ない問い掛けに、何気なく返答をして、笑顔を向けた。
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