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ゲームショップは案の定の混み具合で、人気ラーメン店のお昼時くらいの行列は余裕で越している。
これは長丁場になりそうだ。
「なあなあ、リヒト」
早くも列に並ぶのに飽きてきたのか、ユウタがつまらなさそうに話し掛けてきた。 僕も前に並ぶ人の後頭部を眺めるのに飽きてきた頃だったので、返答する。
「お前んちって、アルマニオンあるんだよな」
アルマニオンとは、現代で最新のVR技術を持ったコンピューターヘッドギアである。
起動中は、人間の感覚機能を完全にシャットアウトして視角情報だけをデータとして脳に直接届けることができる。
「あ、うん。 最近、父さんが買ってきたのが一台あるよ」
ユウタは興味無さ気にふ~んとだけ返し、前に向き直った。 自分から聞いといて……
僕は手刀の一つでもお見舞いしてやろうかと考えながらも、やっぱり親友が可哀そうなので止めた。
時間は気づけば経つもので、ようやく僕達の順番がやってきた。
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