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あれからバイトが終わり一旦帰宅し睡眠を取った。 俺は今ボロボロで水簿らしい格好でお洒落なショップを回っているのだが、あからさまな場違い感にショップ店員がジロジロと訝しげにこっちを見てくる。 まるで晒し者だ、早く用を済ませて帰りたい、くそ、こっちを見るな、見世物じゃないんだぞ、馬鹿にしやがって、服で取り繕ってるだけのブスの癖に。 そんな感じ悪い事を頭の中でリピートさせながら店内を回ったが、あまりの居心地の悪さに落ち着いて考えることが出来ず結局美容院の時間になってしまった。 美容院に向かう最中昔よく贔屓にしてもらったお店を思い出す、店長とも仲が良く一緒に飲みに行ったりもした。 早速美容院が終わった後で行ってもいいか連絡すると、店長は快く了承してくれた。 さて、着いた。 さっきと同様に店員や客から注目を浴びる。 「お客様ご予約はされてますか?」 こんな所予約も無しにいきなり入れる所じゃねーぞとでも言いたげな男の顔、頭が悪いから全部顔に出てるぞ。 「予約してた藤岡です」 信じられないとでも言いたげなその驚いた顔を殴ってやりたかった、一瞬でもそう思った俺は何も間違っていないだろう、こちらへどうぞと通された席は店の一番奥の席だった。 俺の担当らしき女性が話しかけてくる。 「今日はよろしくお願いします、担当させて頂く店長のはぶせです。本日はどのようにしますか?」 俺は少し考えてから清潔感のある感じであまり切りすぎないよう伝えた。 わかりましたこちらへどうぞと髪を洗う所に案内される、俺はそのシャンプー台が嫌いだ、寝かされて顔にタオルを掛けられるまではいいのだが髪を洗う際に首がベタベタに濡れ挙句には洗い残しのトリートメントがぬるぬるするからだ。 シャーっと勢いのいいシャワー音と共にぬるま湯が掛けられるのが頭皮から伝わってきた、ぬるま湯がだんだんと熱くなる。 ああ、今の俺ってこんな感じだ、人の手によって水がぬるま湯になりそしてだんだんと熱くなってお湯になる、今がまさにその状況。
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