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私はチョコを取り出そうと、机をごそごそ漁ります。麗都ならバッグの中身まで勝手に探しかねないと思って、机の奥の方に入れておいたのです。
ごそごそ。ごそごそ。ごそごそ……。
「……あれ?」
机の奥に隠してあったはずのチョコレートが消えているではありませんか。しゃがみ込んで確認しても、赤いラッピングにピンクのリボンのついた、本命チョコレートの入った箱は見当たりません。
どうしましょう。でも、一緒に隠しておいた手紙は無事でした。不幸中の幸いというやつですね。手紙の内容はもちろん愛の告白です。ええ、ラブレターです。
仕方がないので今回は告白するのを諦めよう、と弱気な私が脳内で囁きましたが、もう呼び出してしまっていることを思い出しました。約束の時間も近づいてきます。
悩むのは二月十三日までのタスク。当日は、当たって砕けることに専念する。夢に出てきたチョコレートの神様もそう言っていました。
そう、私は決めたのです。一年近くの片想いに、今日こそ終止符を打たなければ!
年に一度しかやってこないバレンタインというきっかけを、無駄にするわけにはいきません。そういうわけで、私の片想いの相手には、手紙だけでも渡すことにしました。
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