第1章 指先の秘密

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 何とかそこまで這っていって、紙を手に取りじっとみる。  ・・・・・ここから、出てきたと考えるのが妥当よね・・・。  でも、でもでも、何で!?どうして?ここは21世紀の日本でしょう!?どうして一体こんなことが起こるわけよ!?  瞬間的にあたしは大パニックになり、その場でごろごろ転がる。心臓は大きな音を立てて荒れ狂い、涙まで出てきて体は震えだす。 「・・・いや・・・だって・・・そんなめちゃくちゃな・・・」  握り締めた手の爪が光る。そこにあるあの星型を見詰める。 「――――――おばあちゃん・・・」  ハッキリしているのは、これが、あたしへの『いいもの』だってことだ。  ああ・・・ダメダメダメダメ、全部、判らない――――――――  深夜、あたしの世界は回る。ぐるぐると回ってもう何が何だか判らない。天と地が入れ替わっていつまでも回り続ける。  そしてあたしは気を失った。  パジャマ姿で、居間に転がっていた。  本日のあたしの一日、こうして終了。  その半時間後、『絶世の美男子』があられも無い格好でやってきてあたしを抱き上げ、布団まで連れて行ってくれたことは、勿論あたしは知らない。
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