第1章 指先の秘密

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 目が覚めた。  あたしはいつもの布団の中にいて、毛布にくるまっていた。いつもの天井、カーテンの隙間から入る朝日が細く天井に張り付いている。  細めて開けた目を片手で擦って、ため息をつく。・・・・・はあ~・・・・何か、壮大な夢を見ていたような。  イラストから葉月タケルが抜け出して、人間になり、あたしと一緒住むとか何とか――――――――  ・・・・バカらしい。あたしったらおばあちゃんが亡くなったストレスで、妄想力が増えちゃったんじゃないの?  やれやれ、と伸びをしようとして、布団の中で腕が何かにぶつかった。  何か、温かいもの・・・? 「・・・・はよ。起きたのか」 「は!?」  がばっと飛び起きてずり下がろうとし、あたしはそのままベッドから転げ落ちた。 「なっ・・・なななななな!??」  ベッドの下で体に絡まった毛布から逃れようとジタバタしながら叫ぶ。まさかここに誰かいるんですか~っ!? 「・・・おい」  ぐいっと毛布が引っ張られて、絡まりから抜け出し、あたしは床に倒れこむ。その勢いで頭を打って、痛い~とさすりながらも体を捻って上を向いた。 「・・・大丈夫か?」  ベッドの上から、毛布を手にして呆れた顔で覗き込んでいるのは―――― 「たっ・・・」  たーけーるーだああああああああ~!!!  あたしはそのまま言葉も出ずに口をただパクパクとさせる。  夢じゃなかったんだ!?やっぱり現実だったんだ!?タケルが、いる。本当にいるよ~っ!!そんなまさか、いやでもだって、目の前に、あたしの目の前に―――――  ・・・・・・裸で。 「うわああああーっ!!」  あたしはまた叫んで、更に後ろに下がって、今度は壁で頭を打った。  ・・・・痛い・・・。しかめっ面で両手で頭を抱え込んだ。でも、消えない。このタケルは、消えそうにない。ってことは、現実だ!  現実なんだ~っ!! 「・・・・朝から元気だな、お前」  上半身裸(だけだと信じたい)のタケルがベッドの上で欠伸をしつつ伸びをした。 「なっ・・・なっ・・・なっ・・・」  あたしは指で彼を指して、わなわなと震える。 「んー?」
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