第2章 揺れる毎日

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 だってそもそも良く見せたい相手がいないんだもん。そして現実の男に興味も関心もなかったし。  伸ばしっぱなしのぼさぼさの黒髪。視力だけはいいから眼鏡もコンタクトもしていないが、眉毛だって特別手をいれてない素の形、酷く荒れているわけではないけど美肌とも言えない肌。ついでに今は顎のところに吹き出物が3つほどあったはず。  そしてここ3年ほど男性と付き合ったこともないから、体の無駄毛だって全部そのまんま。  威張っちゃうほどには手入れのされてない女だって自覚はあるにはあったのだ。でも、それで生活に困るわけじゃなし。  しかし。しかし、である。  目の前にいい男がいて、その男はあたしが好きな男性と寸分違わず同じ外見をしていて、その人に言われると強烈なショックがあった。  あううう~・・・全身に矢が突き刺さっているようだわ・・・。 「・・・・大丈夫か?」  無言でテーブルに伏せているあたしを見て、ヤツが言う。ムカついたあたしはガバッと体を起こして噛み付いた。 「自分で傷つけといて言うこと!?」  するとタケル片手をひらひらと振る。 「いや、女として大丈夫かって聞いてるんだ」 「―――――」  ・・・・・ぐぬるうおおおお~っ!!むーかーつーくうううううううー!!!  きいいい!!やだやだ、この男、やだあああ~!!出来ればイラストに戻してやりたい。そしたらタケル様になって、あのとろける笑顔であたしを見詰めているだけだ。  あたしから殺気を感じたらしいが、全く気にしてない様子でタケルがにこりと微笑んだ。 「彼氏もいなさそうだなー、その様子じゃ。ま、大丈夫だ」 「何がっ!?」 「俺が変えてやる」 は!?と叫んであたしは目を点にする。一瞬理解が出来なくて、口もぽかんとあけっぱなしだった。  カタン、とコップをシンクにおいて、彼はゆっくりと言った。 「俺がお前を、いい女に変えてやる」 唖然、呆然。あたしはまだバカみたいに口を開けっ放しで彼を見ていた。 「・・・は?」 「長い間一人でいたのか?お前はちっとも潤ってない。女は水なんだぜ」 ・・・・女は、水。いきなり何なのこの人、と思ったけど、あたしは驚きのあまり呆然としたままでタケルが話すのを聞いていた。
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