第2章 揺れる毎日

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「存在は何よりも大きい、そして時々気まぐれに動くし、形も変える。いつの間にかどこにでも侵入する。滑らかで、するするで、動きがつかめなくて、優しく包み込む。それが女だ。せっかく女に生まれたんだろうが、潤ってなきゃ」  鮮明なイメージが頭の中に浮かんだ。透明で、滑らかで、ひんやりとした感触の水の流れが。  彼は微笑して、頷いた。 「水もしたたるいい女に、俺が変えてやる」  頷くことも断ることも出来ずに、あたしはただ黙って聞いていたんだった。  あたし・・・どうなるんだろう、これから先・・・。あまり頭はよくない自覚があるが、どうやら大変な嵐が自分に起こりそうだということだけは、ハッキリと判った。 「あ、そうだ」  ふと思いついたようにいきなり立ち上がり、タケルが手の平をあたしに差し出した。 「え、何?」 「包帯だして」 「包帯?」 怪我でもしたか?訳が判らないまま、見えない力に動かされるようにあたしは引き出しにしまってある救急箱を取り出す。  そして包帯を一巻き、彼に手渡した。  するといきなりあたしの手を掴み、何が何だかわからずに呆気に取られるあたしの左手人差し指を包帯でぐるぐる巻きにした。  ちぎって端を結び、完了するまでがとても早かった。神業をみたような気分で、白い包帯に包まれてしまった自分の指先とタケルを交互に見る。 「・・・えーっと・・・何事?」 タケルは余った包帯を巻きなおしながら言う。 「そのマークで俺に触ると、また消える」 「え!?そうなの?」 びっくりした。何だと!?消去法もちゃんとあるのか!?と思って。 「・・・だと思う。俺は実験台になるつもりはないから、検証はしない。一度消えたら今度また実像化するかどうか判らない」
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