友世と暁子

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 まだ風は冷たいが、立春を過ぎると、日差しがすっかり春めいてくる。満開の梅の花が芳香を放ち、その枝で番いのメジロが遊んでいる。駅で待っていると、泰己の手を引いた暁子がやってきた。  靴こそ踵の低いものを履いているが、ミニスカートにカラータイツ、モヘアのセーターを着た暁子は、以前と少しも変わらない。昔よりきれいになったかも・・・。高校の頃はいつも青白い顔をしていたが、寒さで上気したその顔は、つややかで生命力が溢れている。母になる、というのはそういうことなのだろうか。友世は眩しいものでも見るような顔をして暁子を見つめた。 「何? なんかついてる?」 「ううん。違うわ」  友世は慌てて言った。 「泰己君、こんにちは」 「こんにちは!」  泰己が元気よく挨拶をした。
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