第1章

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 言われたとおりに入力し、検索結果の最初に出てきた、日本政府の運営するページを開く。どうも中高生向きに言葉を選び、イラストを多用したホームページらしい。  見出しは『タタリ憑きと呼ばれる新型感染症の特徴と対応』。 「タタリ憑き……物騒だね」 『はい。実際物騒な病気ですし。まあ正式には精神感染症と呼ばれています。タタリ憑きというのは、その中の一部の人を指す言葉です。釘女さんとか』 「ああ、あれは物騒だったね」 『精神感染症は名の通り、人の精神を伝って感染する病気です。病原体は発見されていないにもかかわらず、感染者が発症した瞬間、周囲の人間に感染します。マスクはおろか、防護服や壁でも防げません。要は、感染を防ぐ手立てがない』 「それ、事実だったら世界滅亡してない?」 『発症する数が少ないんですよ。発症というのは、感染者が精神体を呼び出すことなんで』 「それってこれ?」  スイの精神体が宙に現れる。 『そう。これです』  少女も宙に姿を見せ、すぐに戻る。 「乱用はまずいかな?」 『いえ、基本的に一回目だけだそうです。精神感染症は、感染者が精神的に追い詰められないと発症しませんし、薬で発症を抑えることもできます。精神感染症のおかげで、社会もずいぶん優しくなったようです』 「そりゃ皮肉なことで。それで、タタリ憑きっていうのは?」 『精神感染症には三種類、第一から第三世代まであって、それぞれ精神体の特徴に違いがあります。例えば恩人さんは第一世代。精神体は自分の肉体とほぼ同じ形で現れ、物には触れない。代わりに、霊動力で、物に触れずに物を動かすことができる』 「条件付きだけどね」 『そうなんですか?』 「うん。全体が目に映っていないと動かせないし、自分より大きいものは動かせない。あと生き物も無理」 『おお、やっぱり実際使える人は違いますね。あと、第一世代は本体と繋がっていて、本体に異常があると精神体は肉体に戻されるとか』 「その節はお世話になりました」 『いえいえ。次に第二世代です。私がこれです。容姿は第一世代と同じく発症者の姿で、念力が使えない代わりに、物に触ることができます』 「なのに閉じ込められてたわけ?」 『精神体が弱ってるんです。第二世代は弱った生き物に取り憑いて、体のコントロールを乗っ取ることができます。人間には無理ですけど』 「それで猫?」
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