0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ああいう無機物、特に人型は、形はどうあれ、いずれ本体との折り合いがつく。だがああいう形のナマモノは、絶対に人には使われない。殺しておかないと、大体碌なもんにならねぇ」
ふっ、と機嫌よさげに男が笑う。
「気に入らねぇって顔だな?」
『……まあね』
「いいぜ、そういうヤツの方が俺たち好みだ。本体に戻ってこっちに来い。手伝いな」
『人殺しは遠慮したい』
「おいおい状況を考えろ。今は人殺しに勤しんでる場合じゃないだろ?」
男の言葉にイラっとするが、続けて口にされた言葉に、スイは目を丸くする。
「今はこの状況を落ち着けるのが先。だろう?」
「急がないとタタリがタタリ憑きを作っちゃうからね。ここで食い止めないとねん」
『わ、わかった』
すぐさま肉体に戻り、立ち上がって、男の隣に走り寄る。
「粋錬。そっち、名前は?」
「芦屋連勝」
「はいはーい! 芦屋玲央でっすぅ! よろしくぅ!」
「そういうことなら、力を貸す。タタリは一階だけ?」
「いや、地下にもいたぜ。気を付けろよ少年。間違いなく、感染源が来てる」
感染源。
その言葉に、スイは静かに息を飲んだ。
最初のコメントを投稿しよう!