第1章

22/22
前へ
/22ページ
次へ
「ああいう無機物、特に人型は、形はどうあれ、いずれ本体との折り合いがつく。だがああいう形のナマモノは、絶対に人には使われない。殺しておかないと、大体碌なもんにならねぇ」  ふっ、と機嫌よさげに男が笑う。 「気に入らねぇって顔だな?」 『……まあね』 「いいぜ、そういうヤツの方が俺たち好みだ。本体に戻ってこっちに来い。手伝いな」 『人殺しは遠慮したい』 「おいおい状況を考えろ。今は人殺しに勤しんでる場合じゃないだろ?」  男の言葉にイラっとするが、続けて口にされた言葉に、スイは目を丸くする。 「今はこの状況を落ち着けるのが先。だろう?」 「急がないとタタリがタタリ憑きを作っちゃうからね。ここで食い止めないとねん」 『わ、わかった』  すぐさま肉体に戻り、立ち上がって、男の隣に走り寄る。 「粋錬。そっち、名前は?」 「芦屋連勝」 「はいはーい! 芦屋玲央でっすぅ! よろしくぅ!」 「そういうことなら、力を貸す。タタリは一階だけ?」 「いや、地下にもいたぜ。気を付けろよ少年。間違いなく、感染源が来てる」  感染源。  その言葉に、スイは静かに息を飲んだ。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加