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2151年。晴直が冬眠に入る。
2301年頃。おそらく24世紀に入ると同時に、人類は地下へ移住。地上へは浄化用ナノマシンが散布される。
2551年。これが現在。
2751年頃。これが政府の発表する浄化終了時期。
「そう思う? でもね、百五十年派の情報は、全部手書きの文章とか、新聞の切り抜きとかにしか残ってないの。デジタル媒体には残ってないのよ。ほかの説は残ってるのに」
「誰かが隠ぺいしてるって? ネットの海は随分と小さくなったんだな」
「地上時代だって、公式記録を削除するくらい訳ないでしょ。シェルにはAIASっていう情報管理用のAIもあるから、もっと簡単。二百五十年も時間があったわけだしね」
「はぁ……んで? それがどうしたんだ?」
「分からない? もし百五十年説が事実だと世間に知れれば、私達は地上へ行けるのよ。だから私達は、その証拠を集めている。もしそうなれば、貴方は間違いなく地上行きの有力候補になる。貴方が地上へ戻ることを望むのなら、私達に協力すべき」
どう? と訊く女。
晴直は考え込みながら、一つの可能性について思いを巡らせる。
(警察に追いかけられるような活動。面白そうではある。けどそれ……)
「つまり俺が警察に入れば、お前達とケンカできるってことか。どっちかというと、そっちの方が面白そうだ」
晴直のギラついた視線を受けた女は、目を大きく見開くと、小さく笑って立ち上がり、晴直と向き合い、大きく手を広げ挑発的に言う。
「なら分かりやすく勝負といきましょう」
女の提案に、晴直も挑発的な笑みを返す。
「多分、貴方好みでしょ?」
「ああ、すごくイイ!」
二章・SteepleChase
「ルールは?」
晴直が女にそう問うと、女は階段の下を指差した。
「ここから出て左手へ向うと、約三キロでリニアの駅がある。駅前にある変なオブジェクトまでの鬼ごっこ、でどう?」
「おう。そっちは逃げ慣れてそうだし、鬼は俺でいいな。あの変な靴、使うのか?」
身体を浮かし、空中を滑るように移動する靴だ。
今は履いていないな、と女の足元を見ていると、女がどこからともなく、スケート靴のような、機械的な靴を取りだし、足に取りつけた。
「スキットっていうのよ。重量制限がきつくて、私じゃそんなに速度出ないけど、ないと一分持たないと思うから。でも二階以上には上がらないわ。約束する」
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