レッスン2

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「……お前昨日から俺に対する態度ヒドいよな。本性か?それ」 エレベーターの壁に背中を預け、パタパタと手で顔を扇ぐ三木が、ギロリと視線だけ私へ向けた。 本性と言うか、ただ男性が苦手でこんな態度になってしまうだけなのだけれど、そんなことまで言うつもりは全くないので無視を決め込む。 隣から痛いほどに刺さる視線に何とか耐え、エレベーターを降りて教室に逃げ込む寸前で、地の底から響いて耳にねっとりと残るような恐ろしい言葉が聞こえた。 「……まぁいい。とにかく神谷にはあの男を諦めて必ず俺を好きにさせてやるから、そのつもりで待ってろ」 は!?待たない待たない、待つはずないでしょ。 ……なんて自信家だ。 そうか、“俺様”ってこういう男のことを言うのか。 三木を俺様と位置付けた私は、自分が他人に押されたからと言って告白する性格(タイプ)でもなく、好きになれと言われて意識するような女ではないから、特に気にすることもないだろう、とこの時は思っていた。
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