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何を勘違いしているのか、目の前の私は放ったままブツブツと独り言を呟き始めた三木は、モテメンの見る影もなく危ない男に成り下がっている。
どうやら、猫も仮面もかぶっているのは三木も同じだったらしいと気付き、キョロキョロと視線を通行する街中の人々へ移した。
もしかしたらここを歩いている人たちも皆、猫をかぶって仮面をかぶって、ありのままの自分では生きられない社会を生き抜いているのかもしれない。
「よし」
そんなことを感じ取っていると、トリップしていた三木がようやく戻ってきたようなので、少しズレたメガネを押し上げ仕方なく視線を戻した。
「あの男に告白してフラれてこい」
うん。馬鹿だ。
猫も仮面も剥がれた三木は、限りなく馬鹿な男だ。
しかも、イケてるフェイスの最高値である輝かしい笑顔を向けながら、ってところがとてつもなく腹立たしい。
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