草食系男子以外、お断り！

レッスン2

「今日話したいことがあるってあの男に連絡しろ」

それなのに三木は、私の気も知らないでゴリゴリと話を好きなように進めていってしまう。

「悪いけど私、岩さんに告白するつもりないから。そもそも連絡先なんて知らないし」

はぁ！？と道行く人が振り返るほどの大声を上げるヤバメンは置き去りにして、もう目の前だった職場のあるビルへ体を滑り込ませた。

鞄から素早く社名の入った名札を取り出してストラップを首に掛け、カツカツとヒールの音を鳴らしてエントランスホールを突っ切りエレベーターへ急ぐ。

タイミング良く一階で停まっていたエレベーターに乗り込み、“閉”ボタンを連打した。

「勝手に行くなって」

あぁ、間に合わず。

シューティングゲームの如く連打した甲斐もなく、息を切らした三木が閉まりかけたドアを押さえて乗り込んできてしまった。