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「で、話って?」
部屋に入り、麦茶を差し出すと八戸は話を切り出した。
制服から部屋着に着替る時間すら惜しいらしい。
「ん?まぁまぁ座れよ」
自分の部屋だというのに客に着席を促されるくらい余裕が無かった事に改めて気づかされる。
「いや、俺久野と話してよく分かったんだよ」
「何が?」
相澤の話は脈絡が無いのが常だが、ここまで脈絡が無いのは初めてだった。
いつもの自分ならそこから少しは意図を読み取れたかもしれないが、今は到底無理な話だ。
「久野にね、友達の好きとSEXしても良いの好きの違いについて考ろとか、女を抱きたいのか男に抱かれたいのかきちんと整理する事とか言われててね俺超考えたの」
「…………で?」
「八戸がこの間俺よりも他の事優先させたじゃん?それをさせないためにはどうすればいいのかなって考えたら答えが出たんだよ」
八戸の脈拍は徐々に早くなっていく。それは相澤の口から次に何を言われるか分からないと言う緊張と、もしかしたらと言う興奮によってだ。
「八戸に教えてもらうのに抱かれたじゃん?そしたら思いのほか気持ちよくて俺別にこのまま抱かれてる側でもよくない?って思ったんだよ。で、よーく考えたら亮ちんも久野もトモも八戸も好きって」
「…………で?」
「でも久野がそれじゃぁ駄目だって言ったんだよ。みんな好きだからSEXしてもいいの好きにはならないだろ?って。んでで良く考えたら、八戸だけだなって。SEXしても良い側に居たのは。で、八戸に俺を一番に考えて貰えばこの間みたいな事はなくなるんじゃないかって。そしたらあぁ俺は八戸の一番になりたいのかって気づいたの」
「…………で?」
「それが友達の好きとSEXしても良いの好きって事だろ?そして俺は抱くよりも抱かれたい。抱かれたいのは一番の八戸に。でコレが俺の答え――――ってぁんッ」
相澤の言葉は最後まで口にする事は出来なかった。
一生懸命己を宥め、相澤の言葉に耳を傾けていたが、八戸はもう限界だった。
唇を唇で塞ぎ、舌を絡めあう。
先程まで自分の考えを発言していた相澤の口からは、熱い吐息のみを吐いていた。
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