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「んっ……」
眩しい日差しが相澤の眠りを覚醒へと導いた。
きょろきょろと当たりを見回しそばにあった携帯を見つける。
開いて時間を確認すると土曜の13時を指していた。
良く見ればベッドの感触も、壁紙の色も、肺に入り込んでくる空気も自分の部屋とは違う事に気づく。
「あれ?俺、っ、昨日……」
そこまで言ってやけに掠れている声と、体の倦怠感にさっと昨日の事を思い出す。
昨日八戸に一番になりたいと伝え、そのまま抱かれた。
途中色々な体液で汚れた体を清めようと風呂に入った際に見た時計は2時を指していたと思う。
その後そこでも抱かれ、部屋に戻り意識が途切れる前に見た壁掛け時計は5時を指していた。
たっぷり8時間程寝たはずなのに体から疲れが取れていない。
むしろ昨日よりも体が重く感じる。
「抱かれる側の方が気持ちいけど、体ダルくなるのか……ちょっとやだな」
気持ちよくなる度にこの倦怠感が伴うとなると、安易に抱かれる物ではないと思ってしまう。
隣の温もりは既に感じないほどに冷たくなっていて、八戸がここを出てから大分時間が経っている事が伺える。
起きて八戸を探しにいこうかとした時、相澤の耳に聞きなれた声が聞こえた。
「でさ、まぁじ可愛いんだわ。女からの電話邪魔しちゃって、一生懸命俺が教えた方法で誘ってくんの」
八戸は誰かと話しているようで、声の音量や声音からでとても機嫌がいい事が伺える。
「一番になりたいとか抱かれたいとか言ってくれちゃってんの。俺まじ幸せ者。超可愛い。あっ、そろそろ起きるかもしれねぇから。また月曜な」
電話を終えたようでバタバタと階段を上る音が聞こえる。
ガチャリとドアノブが回り、チャーハンとスープと飲物を持ってきた八戸が顔を出す。
「あ、相澤起きたのか?」
「うん、おはよう」
八戸は食事をテーブルの上に置くとベッドへ腰掛け相澤を抱きしめる。
いきなり抱きしめられた相澤はどうする事も出来ない。
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