籠絡編

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「……あぁ、夢じゃないんだな。相澤が俺を選んでくれるなんて」 「?」 「ん?相澤はゆっくり考えればいい。俺は相澤が一番だし、大事にするからさ」 頭のてっぺんにキスを落とし食事を摂るように八戸が促す。 八戸は相澤がチャーハンを食べている間も体の何処かしらに触れ、存在を確かめているようだった。 八戸お手製のチャーハンを食べながら、先程の電話を思い出す。 「ねー八戸」 「ん?」 携帯に意識を向けていた八戸が、相澤に視線を向ける。 相澤も正面からと向かい合って、本当にこの男が自分を一番に思ってくれているのが不思議だと思ってしまう。 平均よりも高い身長、バスケで鍛えた無駄の無い体。 目は少しきつめでだが初対面の相手にも恐怖は与えない。 髪はダークブランに染め多少長めな髪の毛は、皆がやって似合う髪型ではない。 「おい、相澤!」 「あっ、ごめん」 「何々?俺に見惚れてた?」 「うん。やっぱり八戸ってカッコイイな。モテる理由が分かる気がする」 どうやら茶化そうとしていた八戸は。素直に見惚れていた事を伝えられたのが照れてしまったようだった。 顔を赤くすると顔を背けてしまう。 「俺八戸の一番になれてよかった。俺も八戸が一番だからね?」 「まぁ、俺は一番って言うか好きなんだけどな……。お子ちゃまな相澤にはまだ分からないかな……」 相澤には聞こえないように小さく声に出すと、相澤が何を言ったか尋ねてくる。 まだきちんと自分の感情に気付いていない相澤に言ってもしょうがない事だったのでそれを濁してごまかした。 「なぁなぁ。俺一番になったから、俺優先される?」 食事を全て平らげ、一階のソファで寛いでいた八戸に相澤がよじ登り尋ねる。 「まぁ、そりゃぁねえ。俺の一番ですから」 「女から呼び出しあって、後から俺が呼んでもこっち来てくれる?1on1出来る?」 「当たり前」 「よかったー。これで邪魔されないな」 「……そうだな」
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