籠絡編

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恐らく相澤の中では、八戸と付き合うことになっているとは微塵も思ってないだろうと八戸は推察する。 自分の中では昨日の瞬間から相澤と付き合っていることになったのだが……。 一番になっていれば自分が優先される。 自分も一番に思えば気持ちよくもしてもらえる。 多分まだその程度しか考えていないだろう。 自分が優先されない事に腹を立てるのは嫉妬の第一歩であり、相澤自身が自覚していない気持ちの現れである事に八戸は気づいている。 それでも普段の相澤ましてや今までの二人の関係からすれば、友達から1番になりたいと相澤の気持ちが変化した事だけでも大いなる進歩といえよう。 「あ!そう言えば俺の乳首ってどう?ちゃんと変わってる?」 「…………いや、まだ駄目だ」 そう言えば相澤に触りたいが一心でそんな事を言ったなと八戸は思い出す。 確かに相澤の乳首は八戸に弄られ変化は遂げた。 だがその変化は相澤が希望しているような変化ではなかったが。 摘みやすく肥大し、弄られる事によって性感帯へと変化し、更には赤みも増した。 八戸自身にとってはこの上ない変化なので嬉しい限りだが、相澤が気づいたら煩くなりそうだと眉を顰める。 顰めるが、八戸の中ではその時が来たらまた言いくるめば言いかと言う結論に達した。 疑問に思うのならそれを解決できる回答を与えてやるまでだ。 それが正しいか正しくないかは重要でない。 解決できるかできないかが重要なのだ。 「そっか……まだ変わらないのか。ならまだまだ宜しくな!でも一ヶ月はもう直ぐ経つから賭けは終わりで」 「はいはい」 「あっ!勝負は引き分けで終わりな!」 「はいはい」 「それと今は女口説くのあんまり興味ないからし。俺の当面の目的は乳首の色を変えるって事にする。引き続き協力よろしく」 「了解」 八戸の返事を聞くと相澤は満足げに微笑む。 その笑顔により八戸にも蚤の心臓くらい存在していた良心が痛んだ。 それでも自分の膝の上で酷く嬉しそうに相澤が微笑むので、八戸は強く相澤を抱きしめ、放さないように心に決めたのだった。
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