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「んで、俺にも惚気聞かせろよ」
「いやもう可愛いの一言に尽きるな。アイツの中で俺たちは付き合ってはないみたいなんだけど、一番になりたいし、俺の事も一番にしてくれるらしいぜ。一生懸命この一ヶ月教えた内容で俺を誘って来るんだわ」
「……まぁ。お前が教えてた内容って口説き方って言うよりは相手を誘うやり方だったしな……」
全てを相澤から聞いていたわけではないが、数回相澤が自慢気に話していた内容は口説き方とは違うように思えた。
「そ。俺が相澤にされたいなぁ~って事を教えてみたら、案の定その通りにしてくれたぜ」
「まぁこのまま順調に行くと良いな」
「行かせるんだよ。俺がヘマなんかするかよ。それに……上手くいかなかったらまた周りを使えばいい」
「またって、あの3年のミスも仕込みか……」
「仕込とは失敬な。先輩の俺と話したいと言う気持ちも汲み、俺のそれを相澤に見せてやりたいと言う願望をかね揃えた結果がアレだ」
相澤は恐らく自分が見た光景が仕組まれたいたことだとは気づかないし、八戸が気づかせないだろう。
相澤には自分で気持ちを選ばせたようにさせて、実際の所は全て八戸の掌での行動ぴだったと言う事だ。
「それくらい囲って行先示してやる方が相澤にとってはいいかもな」
「そ、可愛いからいいの。犬猫も可愛いけどやっぱり、ウチの子が一番可愛いね」
自分の横で大層嬉しそうに微笑む八戸。
八戸の心からの笑顔はレアであり、友人の久野ですら中々拝めない代物だ。
相澤が視線を上げ八戸を視界に入れるとこちらも幸せそうに微笑む。
そんな二人を見て、二人が幸せなら何でも良いかと久野は思ったのだった。
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