たべたい

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「うわあ、運命感じる。俺、根性で治すわ。先輩とのデートが待ってるからな!」 「はあ?」 「デートしようよ、デート。俺が退院したら、デートしましょうね」 「ああ、そう……何すんの」 「何がいいかなあ……あ、先輩、したことなくてしてみたいこととか、ある?」 「……バンジージャンプ、とか?」 「いきなり、ハードル高っ! いいですよ、じゃあ、先輩も体調万全にしてくださいね」 「え、オレも?」 「してみたいことって、いったじゃん」 「じゃあ、遠慮する」 「なんで! でも、デートはしてくださいね! 今、俺の心の支えですからね!」 「大げさ……」 バカみたいな会話。 くだらなくて中身がないと思ってたけど、ないと寂しくて、ついうっかり見舞いに日参してしまった。 かわいいと思ったんだ。 そんな風に、「なんかいいかも」と思っていた相手からの行動が、オレの背中を押したのは確か。 今まで逃げ回っていた手術に同意してしまった。 だってそう望まれてしまった。 先輩がこいつから手を回したのかもしれない、って気がついたのは手術を受ける麻酔中だったけど、それでもまあいいかくらいは思ってしまった。 そんな相手だからさ。 外出許可とれるって聞いたら、望みをかなえてやりたくなるじゃん。 折しも世の中バレンタインだったわけで。 憎からず思っていて口説かれてても、踏み込んで告ったわけじゃなくて、あやふやなままの関係だったもんだから尚更に、いい機会だって思ってしまったわけだよ。
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