たべたい

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ゆるりと浮かぶ意識。 ぷころぷころと頭の下から鈍く響く音がするのは、氷枕のせい。 低く続く空調の音と、遠くで動く人の気配。 張りのあるシーツの感じで納得した。 ここは、しばらくの間オレが滞在している、病室のベッド。 右腕に慣れてしまった小さな違和感があって、点滴が繋がれたままなんだなと思う。 ってことはうたた寝くらいにしか眠っていないってことか。 脳細胞の変わりに細かい砂が詰まったように頭が重くて、寝返りを打つこともおっくうな状態。 瞼をあげるのも面倒くさくて目を閉じたまま大きく息を吐く。 吐息すらも熱くて、さっき寒気で気が付いたあがり始めの熱は、まだあがり続けてるって教えてくれる。 「チヨ」 ベッドの周りをぐるりと囲んだカーテンのむこうから、そっと声がかけられて、隙間から人が入り込んだ気配がした。 「チヨ? 眠っているのか?」 入り込んだ人物がオレの額に手を当てて、熱を確かめ、張り付いた前髪を撫でつける。 「……やあ、先輩、こんばんは」 「狸寝入りか? 先生と呼べよ。調子はどうだ? 昼間に外出してたって? ちゃんと防寒した? 張り切りすぎたのか?」 重たい瞼を開けて声をかけたら、矢継ぎ早に質問が来た。     
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