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「帰ってきてすぐの簡易検査には、異常なかったんだよね。風邪……って感じでもないな。やっぱちょっと疲れたか……どれくらい出かけてた?」
「バス乗って……三時間くらい、かな」
「家に帰ってたのか?」
「や。買い物」
ぴぴっと電子音がなったので、体温計を返す。
先輩は眉を上げて、思わしくないってことをオレに伝えた。
白衣のポケットに体温計を入れて、カルテを書き込む。
「寒気があったって? 今は?」
「ない。けど、熱いしダルい」
「三時間も散歩行くのは、まだちょっと早かったみたいだな。寒いとそれだけでも体力使うから、疲れるんだよ。来週は外出禁止」
「へーい」
買いたい物はちゃんと買うことができたし、別に冬に出歩くのが好きなわけじゃない。
病室にいることは苦痛なタイプじゃないから、それはいい。
けどいつもの癖で面倒くさい感じに返事をしたら、こつんと小突かれた。
「無理をしない。お前の身体だよ」
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