おらが村さのちょこれーと

芽吹いたドングリを拾って口に入れた。
カリカリとした歯応えとちょっぴり苦い味が堪らない。
コンビニの小さな袋を取り出して拾いながら進む。村のみんなにお土産だ。

道はクネクネと曲がり急な峠に達する。
おれの足が更に速まった。

もうすぐ、もうすぐだ。

懐かしいおれの村。
大木が林立する中で僅かに平らな土地に水田が拡がる。

古き善き原風景━━━

昔は村外の人間が迷い込んで来る心配もなかったけれど、現代には空を飛ぶものがある。
衛星、飛行機、ヘリコプター、ドローン━━━
万が一見つけられたらここには居られなくなる。

水田の上にカモフラージュの幕を張り原野を装った。