第1章

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「あの……新手の泥棒ですか? でしたら割とうちお金ない方なんでお帰りいただきたいです」 「ちっ、違います! 僕は本当にお話ししたいことがあって来ただけなんです」 「……何のお話ですか?」 すると男は、床にお行儀よく正座して、コホンと咳払いした。 男につられて私も正座して男に向き合う。 夜の10時に10階の窓からおいでになった、得体の知れない不審者と二人きりで正座って異常過ぎる。 「落ち着いて聞いてくださいね。多分びっくりすると思います。……僕は、神様の使者なんです」 私は再び携帯に手を伸ばす。 「ちょ、ちょっと! 110番しないでくださいってば!」 ……だって、この人明らかにイタイ人じゃん。私より年上に見えるのに、中二病が抜けてないのかな。神様の使者とか何言ってんだ。 神様の使者とかほざいた男は、再び話し始める。
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