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「矢口いないと、雪菜勉強教えてもらえなくて困るー」
「雪菜、矢口のことなんだと思ってたのよ」
「うーん、便利屋さん?」
「何それー」
里紗も雪菜も、稜介がいなくなって寂しいとは思っても、もう死んじゃった直後みたいに取り乱すことはないみたい。
いつまでも稜介が死んでしまったという悲しみに浸って、過去に縛り付けられてはいけない。時の流れが無理矢理にでも、私たちの喪失感を流していくのはきっといいことだ。
それでも私は忘れられない。
……時が経つほどに、この罪悪感は薄れていくどころか強くなっていくの。
「今だから言うけどね~、私一時期矢口のこと好きだったことある」
「えっ、里紗ちゃんも!? 実は、雪菜もある」
「マジでか」
「まりあは? もしかしてまりあも矢口のこと好きだったことある?」
……ごめん、稜介。助けられなくて。
稜介を死なせてしまったのは私だ。
「……まさか。矢口は、ただの仲良しの友達だったよ」
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