第1章

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「矢口いないと、雪菜勉強教えてもらえなくて困るー」 「雪菜、矢口のことなんだと思ってたのよ」 「うーん、便利屋さん?」 「何それー」 里紗も雪菜も、稜介がいなくなって寂しいとは思っても、もう死んじゃった直後みたいに取り乱すことはないみたい。 いつまでも稜介が死んでしまったという悲しみに浸って、過去に縛り付けられてはいけない。時の流れが無理矢理にでも、私たちの喪失感を流していくのはきっといいことだ。 それでも私は忘れられない。 ……時が経つほどに、この罪悪感は薄れていくどころか強くなっていくの。 「今だから言うけどね~、私一時期矢口のこと好きだったことある」 「えっ、里紗ちゃんも!? 実は、雪菜もある」 「マジでか」 「まりあは? もしかしてまりあも矢口のこと好きだったことある?」 ……ごめん、稜介。助けられなくて。 稜介を死なせてしまったのは私だ。 「……まさか。矢口は、ただの仲良しの友達だったよ」
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